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ジョン・ウィリアムズ『ストーナー』

久しぶりに、心臓が高鳴るような読書をした。ジョン・ウィリアムズの「ストーナー」。20世紀アメリカの農業地帯に生まれた一人の男が、抗いようのない外的環境に身を委ねながら生き、死んでいく。静謐で凡庸で、それでいて先へ先へと催促を止めることのない一冊だ。

この本を読むのは初めてではなくて、一度目は中学3年のことだったと思う。最初からこの本が特別になると察していたのだろう、普段は図書館に頼りきりの自分が珍しくハードカバーを買って、読み終えた後には友達に貸して回りもした記憶がある。それからずっと、書棚の隅で埃を被りながら他にない輝きを放つ特別だった。

読んだ頃の気持ちに立ち返らなければいけない、と思って6年ぶりに手に取った。どんなものであれ、やはり二度目以降のインパクトというものは乏しい。しかし乏しいながらにして、夜なべしての黙考を止められないほどには衝撃を与えてくる一冊だった。

人生とは何か。人生に何を期待するのか。ストーナーが迫るこの問いの存在は、一度目に読んだ時よりもますます差し迫ったものになり、答えの所在は漠として知れない。決して書評が書きたかったわけではないから、説明も感想も半端のまま終わりにしよう。ただ、この本が教える人生の輝きと、深く確かな諦観に飲まれてしまいそうになった現在の気持ちだけを残しておきたい。